'不思議なトラブル イグニッションコイル'
- 2006/11/25 00:00 JST
'久しぶりに 整備日誌に書き込みます。
今回はちょっと古めの平成4年式ハイエース、RZH101でエンジンはガソリン2.4Lの2RZです。
走行は驚きの30万キロです。
4万キロほど前にプラグとハイテンションコード、デストリビューターキャップ、ローターをそれぞれ交換しています。
さて症状なのですが、ある朝突然エンジンがかからなくなったという事です。
セルモーターはと言うとよく回るらしく、しばらくクランキングを続けているとなんだかガソリンくさくなると言うことでした。
トラブルシューティングに入る前にこのエンジンについて見ておきましょう。
もちろんEFIで、一見全てがコンピューターで制御されているように見えるのですが、冷間時増量だけが別のインジェクターがついているタイプです。コールドスタートインジェクターと言うやつですね。
点火系はと言うと、ディストリビューター内のピックアップからNe信号がCPUに入り、イグナイターを通して同じくデストリビューター内のイグニッションコイルを通電させ、2次電圧をロータで4気筒に振り分けると言うものです。
したがって、ハイテンションコードはプラグへ行く4本だけで、センターコードはありません。
ここからトラブルシューティングなのですが、私はトラブルシューティングとはピンポイントで故障箇所を調べだすことだと考えています。
点検し、検査し、故障箇所を絞り込んでいき、最終的にどこか1箇所の不良箇所を探り当てて、その部品だけを取り替える。
これがトラブルシューティングです。
闇雲に怪しい部品を取り替えて、何個か目に不良箇所にたまたま当たって修理完了、では部品代がかかって仕方がないですね。
点検に時間をかけて、しっかりとしたトラブルシューティング、これを心がけています
' 'では早速トラブルシューティングです。
症状を観察していえることは
クランキング音は正常で、大きな圧縮異常などは感じられない。
ガソリンくさくなるのでガソリンは出ている模様。
この二つからまず点火系を疑います。
点火系の簡単な点検方法として私はタイミングライトを使います。
ハイテンションコードにクランプしてクランキングし、ライトが発光すれば点火していると判断するわけです。
この方法でテストしてみたところ発光なし、はやり点火系異常の様相です。
念のためダイアグノーシスを点検したところ、異常コードは出力されませんでした。
こうなってくると一番怪しいのは イグニッションコイル、イグナイター、ピックアップと言うところですが、ピックアップはCPUにNe信号を送っているので、もしこれがなければクランキングしても燃料噴射しないはずです。
つまりは、ピックアップ異常であればガソリンくさくなることはありません。
同様にイグナイターから点火確認信号(IGf)がCPUへ戻らなければCPUは燃料噴射しないはずなのでこれもガソリンくさくなることはないはずです。
ただし、イグナイターはよく壊れる部品なのでこの時点で外してしまうのはちょっと怖いです。したがって嫌疑ありというところでしょうか。
したがって一番怪しいのはイグニッションコイルです。
ここでいつもお世話になっているあいおい損害保険の整備相談窓口にFAXし、イグナイターとイグニッションコイルの点検方法を教えていただきました。
一応事前にイグニッションコイルは車載状態と取り外して単体で各ターミナル間の抵抗値を計っておいたのですが、一般的なコイルの値から外れているようなことはありませんでした。
であれば、イグナイターでしょうか。
さて送っていただいた資料の診断フローチャートを見ると、イグナイターの判定方法は「イグナイター以外の点火系の全てが正常であればイグナイター不良と判断する」と。。。
なんとも困ったもんですね、フローチャートを全て点検する必要があるようです。
また、イグニッションコイルの点検方法はやはり抵抗値の測定であり、私が判定したとおり、値としては問題ないものでした。
フローチャートをそこそこ点検したものの、IGfが出ている時点でイグナイターは正常だろうと判断し、目線をイグニッションコイルに移しました。
まずは点火波形を確認してみましょう。
オシロスコープをイグニッションコイルのマイナスターミナルにつなぎ、点火1時波形を確認します。
これはイグナイター~イグニッションコイル間の12Vの電圧の動きを観察することが出来ます。
結果は、波形ありです。
私の使っているスコープが古いせいもあり、ちょっと確認しずらかったのですが、クランキングで確かに波形が出ています。
次に高電圧の2次波形を観察するのですが、こちらはデスビ内臓コイルの為センターコードがありません。
ですからハイテンションコードを直接コイルの2次側ターミナルにつなげて、プラグを介してアースに落としてやります。
通常1次側に波形が出れば2次側にも波形が出るはずです。
結果は波形なし。
もちろんプラグにも点火なし。
どうやらイグニッションコイルのようです。
ただし、抵抗値は基準値です。
こんなことってあるのでしょうか?
トラブルシューティングとしては少々納得がいかないのですが、確率80%としてイグニッションコイルを発注しました。
交換後のテストでは2次波形も出て、プラグにも点火あり。
デストリビューターを元に戻してエンジン始動。
問題なく始動できて無事終了です。
今回は抵抗値が基準値内にあるにもかかわらず点火しないイグニッションコイルにだまされそうになりました。
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今回はちょっと古めの平成4年式ハイエース、RZH101でエンジンはガソリン2.4Lの2RZです。
走行は驚きの30万キロです。
4万キロほど前にプラグとハイテンションコード、デストリビューターキャップ、ローターをそれぞれ交換しています。
さて症状なのですが、ある朝突然エンジンがかからなくなったという事です。
セルモーターはと言うとよく回るらしく、しばらくクランキングを続けているとなんだかガソリンくさくなると言うことでした。
トラブルシューティングに入る前にこのエンジンについて見ておきましょう。
もちろんEFIで、一見全てがコンピューターで制御されているように見えるのですが、冷間時増量だけが別のインジェクターがついているタイプです。コールドスタートインジェクターと言うやつですね。
点火系はと言うと、ディストリビューター内のピックアップからNe信号がCPUに入り、イグナイターを通して同じくデストリビューター内のイグニッションコイルを通電させ、2次電圧をロータで4気筒に振り分けると言うものです。
したがって、ハイテンションコードはプラグへ行く4本だけで、センターコードはありません。
ここからトラブルシューティングなのですが、私はトラブルシューティングとはピンポイントで故障箇所を調べだすことだと考えています。
点検し、検査し、故障箇所を絞り込んでいき、最終的にどこか1箇所の不良箇所を探り当てて、その部品だけを取り替える。
これがトラブルシューティングです。
闇雲に怪しい部品を取り替えて、何個か目に不良箇所にたまたま当たって修理完了、では部品代がかかって仕方がないですね。
点検に時間をかけて、しっかりとしたトラブルシューティング、これを心がけています
' 'では早速トラブルシューティングです。
症状を観察していえることは
クランキング音は正常で、大きな圧縮異常などは感じられない。
ガソリンくさくなるのでガソリンは出ている模様。
この二つからまず点火系を疑います。
点火系の簡単な点検方法として私はタイミングライトを使います。
ハイテンションコードにクランプしてクランキングし、ライトが発光すれば点火していると判断するわけです。
この方法でテストしてみたところ発光なし、はやり点火系異常の様相です。
念のためダイアグノーシスを点検したところ、異常コードは出力されませんでした。
こうなってくると一番怪しいのは イグニッションコイル、イグナイター、ピックアップと言うところですが、ピックアップはCPUにNe信号を送っているので、もしこれがなければクランキングしても燃料噴射しないはずです。
つまりは、ピックアップ異常であればガソリンくさくなることはありません。
同様にイグナイターから点火確認信号(IGf)がCPUへ戻らなければCPUは燃料噴射しないはずなのでこれもガソリンくさくなることはないはずです。
ただし、イグナイターはよく壊れる部品なのでこの時点で外してしまうのはちょっと怖いです。したがって嫌疑ありというところでしょうか。
したがって一番怪しいのはイグニッションコイルです。
ここでいつもお世話になっているあいおい損害保険の整備相談窓口にFAXし、イグナイターとイグニッションコイルの点検方法を教えていただきました。
一応事前にイグニッションコイルは車載状態と取り外して単体で各ターミナル間の抵抗値を計っておいたのですが、一般的なコイルの値から外れているようなことはありませんでした。
であれば、イグナイターでしょうか。
さて送っていただいた資料の診断フローチャートを見ると、イグナイターの判定方法は「イグナイター以外の点火系の全てが正常であればイグナイター不良と判断する」と。。。
なんとも困ったもんですね、フローチャートを全て点検する必要があるようです。
また、イグニッションコイルの点検方法はやはり抵抗値の測定であり、私が判定したとおり、値としては問題ないものでした。
フローチャートをそこそこ点検したものの、IGfが出ている時点でイグナイターは正常だろうと判断し、目線をイグニッションコイルに移しました。
まずは点火波形を確認してみましょう。
オシロスコープをイグニッションコイルのマイナスターミナルにつなぎ、点火1時波形を確認します。
これはイグナイター~イグニッションコイル間の12Vの電圧の動きを観察することが出来ます。
結果は、波形ありです。
私の使っているスコープが古いせいもあり、ちょっと確認しずらかったのですが、クランキングで確かに波形が出ています。
次に高電圧の2次波形を観察するのですが、こちらはデスビ内臓コイルの為センターコードがありません。
ですからハイテンションコードを直接コイルの2次側ターミナルにつなげて、プラグを介してアースに落としてやります。
通常1次側に波形が出れば2次側にも波形が出るはずです。
結果は波形なし。
もちろんプラグにも点火なし。
どうやらイグニッションコイルのようです。
ただし、抵抗値は基準値です。
こんなことってあるのでしょうか?
トラブルシューティングとしては少々納得がいかないのですが、確率80%としてイグニッションコイルを発注しました。
交換後のテストでは2次波形も出て、プラグにも点火あり。
デストリビューターを元に戻してエンジン始動。
問題なく始動できて無事終了です。
今回は抵抗値が基準値内にあるにもかかわらず点火しないイグニッションコイルにだまされそうになりました。
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