'冷間時にアイドル不安定なQR20'
- 2006/03/12 00:00 JST
'車検でお預りした15年式のリバティーRM12です。
たったの3年で10万キロを超えて車検に入庫してきました。
車検以外のご要望事項として、エンジンが冷えている時のアイドリングが不安定ですぐにすぐにエンストしまうと言うものです。
そのためこのお車オーナーさんは朝アクセルを踏みつづけて暖気されていたとのことです。
車からのインフォメーションとしては何もなく、エンジン警告灯も特に点灯しないとのこと。
早速OBD2で自己診断をかけてみましょう。
' '
症状から察するに、ISCV(アイドリング制御バルブ「アイドル・スピード・コントロール・バルブ」)、水温センサー、エアフローメータあたりの不具合であると推測されます。
ところが、というかやっぱりと言うかダイアグノーシスの結果は正常コード
暖気後・および冷間時でも回転をあげていれば不調・振動はまったくないので、点火系は除外することにして、スロー系の詰まりと、センサーの特性ずれを重点的にチェックすることに。
水温センサーはOBD2の出力数値(温度表示)が実際のエンジン温度に近い表示であったため、水温センサーは正常と判断。
あとは、冷間時になんとかアイドリング付近を維持しながらエアフロの出力値とインジェクターの噴射時間をOBD2でプリントアウトしました。
暖まってしまう前に冷間時の数値を記録しておいて、この数値と暖気後の数値を比較しようと言うわけです。
さてここまでは手の汚れない仕事なのですが、ちょっと手を汚して実際の部品を目で確認してみます。
ここまできて初めて気が付きました、この車は電子スロットル通称『電スロ』な
のです。
これを簡単に説明すると、「アクセルからスロットルチャンバー(バルブ)までをアクセルワイヤーでつないで、アクセルを踏むと、スロットルが機械的に動く」というのが、今までのごく普通の構造だったのですが、電スロの場合、アクセルの横にはアクセル開度センサーが付いているだけで、ワイヤーなんかはありません。
もちろんスロットルにもワイヤは付かずにモーターが直結されています。
アクセルの開度をコンピューターが判断して、それに見合った量の信号をモーター
に送り、スロットルバルブを開いているのです。
このようなシステムにすると、アイドリングまでもスロットルバルブで制御でき
るため、独立したアイドル制御システムは不要になります。
さて、実際にスロットルチャンバーとエアフローメーターをはずして目視点検し
ました。
ホットワイヤー式のエアフローメーターは特に異常なし。
スロットルチャンバーのほうはと言うと黒いカーボンがバルブの周りに堆積して
います。
通常ISCVのような小さい空気の通路の場合はカーボンの堆積でかなりの影響
も考えられるのですが、大きなスロットルバルブの周りのカーボンが果たしてど
れだけ影響するのかちょっと疑問でした。
一応エンジンコンディショナー(キャブクリーナー)でカーボンをきれいに掃除
して組み付けることにしました。
これらの作業と平行して机上ではFAINES(日整連の電子整備マニュアル)
でこの車の制御や整備の方法などを見てみることにしました。
実際にはこの車の情報は掲載されていなかったため、エクストレールの同型のエ
ンジンの資料を閲覧しました。
ここですばらしい情報を発見。
スロットルバルブを外して組み付けたあとは、スロットルの閉位置学習と、アイ
ドリングの急速学習をしてやらないといけないとの事。。。
その方法ももちろんFAINESに掲載されています。
実際これをせずにそのままの状態で組み付けただけでは暖気後のアイドリングは2000回転以上もあり、フェイルセーフでしょうか、エンジンはハンチングしておりました。
これらの学習をマニュアル通りにしてやると、アイドリングはぴたりと安定して
すこぶる快調になりました。
もちろん冷間時の不調も完治しました。
結果としては、スロットル周りに堆積したカーボンが冷間時のアイドリングを不安定にしていたようです。
その後入手した資料によりますと
・信号待ちなどでエンストしそうになる
・アイドリングが低いとか不安定とか
・走行中でもアクセルオフにするとエンストしそうになる
などの症状が起きた場合は
スロットルの清掃と閉位置学習、急速TAS学習を行うようにと記載されており
ました。
また、このような症状がおこる原因としてはエンジンオイルの量、メンテナンス不良の場合発生するようです。
このエンジンは通常0W20の低粘度オイルが指定されています。
通常これらのオイルは高級な部分合成オイルであるため、このようなカーボンの付着が低減されるのではないでしょうか。
また、オイル交換のサイクルも短めにしたほうがよいでしょう。
■スロットル閉位置学習の方法
1.キースイッチをON→OFF(0FF後5秒間は保持)
2.その時スロットルバルブから作動音がすることを確認する
■急速TAS学習の方法
準備
スロットル全閉位置学習をおこなう
エンジンを完全暖気しておく
Pレンジでエアコン・パワステ・電装品の負荷をかけない
準備が出来れば以下の手順
1.アクセル踏まずにキーをON
2.キーをONから3秒後、「アクセルいっぱいに踏む→放す」を5秒以内にすばやく5回繰り返す(アクセルを放して終わる)
3.放してから7秒後、アクセルをいっぱいに踏み続ける。この時10秒後にエンジンの警告灯が点滅をはじめ、さらに10秒後点滅が点灯に変わる。
4.点灯した後もさらに5秒間アクセルを踏みつづけた後に、アクセルを放し、エンジンを始動する。この時点から急速TAS学習が始まるので、20秒くらいはエンジンがかかったまま放置する。
5.以上で学習が終了するが、以下の方法で学習できたか確認する
・キーOFF後10秒以上経過してから再始動
・アイドル回転数が基準値以内であることを確認する
注意:時間のカウントはかなりシビアです。時計などを使って正確に行わないと学習が始まりません。'
たったの3年で10万キロを超えて車検に入庫してきました。
車検以外のご要望事項として、エンジンが冷えている時のアイドリングが不安定ですぐにすぐにエンストしまうと言うものです。
そのためこのお車オーナーさんは朝アクセルを踏みつづけて暖気されていたとのことです。
車からのインフォメーションとしては何もなく、エンジン警告灯も特に点灯しないとのこと。
早速OBD2で自己診断をかけてみましょう。
' '
症状から察するに、ISCV(アイドリング制御バルブ「アイドル・スピード・コントロール・バルブ」)、水温センサー、エアフローメータあたりの不具合であると推測されます。
ところが、というかやっぱりと言うかダイアグノーシスの結果は正常コード
暖気後・および冷間時でも回転をあげていれば不調・振動はまったくないので、点火系は除外することにして、スロー系の詰まりと、センサーの特性ずれを重点的にチェックすることに。
水温センサーはOBD2の出力数値(温度表示)が実際のエンジン温度に近い表示であったため、水温センサーは正常と判断。
あとは、冷間時になんとかアイドリング付近を維持しながらエアフロの出力値とインジェクターの噴射時間をOBD2でプリントアウトしました。
暖まってしまう前に冷間時の数値を記録しておいて、この数値と暖気後の数値を比較しようと言うわけです。
さてここまでは手の汚れない仕事なのですが、ちょっと手を汚して実際の部品を目で確認してみます。
ここまできて初めて気が付きました、この車は電子スロットル通称『電スロ』な
のです。
これを簡単に説明すると、「アクセルからスロットルチャンバー(バルブ)までをアクセルワイヤーでつないで、アクセルを踏むと、スロットルが機械的に動く」というのが、今までのごく普通の構造だったのですが、電スロの場合、アクセルの横にはアクセル開度センサーが付いているだけで、ワイヤーなんかはありません。
もちろんスロットルにもワイヤは付かずにモーターが直結されています。
アクセルの開度をコンピューターが判断して、それに見合った量の信号をモーター
に送り、スロットルバルブを開いているのです。
このようなシステムにすると、アイドリングまでもスロットルバルブで制御でき
るため、独立したアイドル制御システムは不要になります。
さて、実際にスロットルチャンバーとエアフローメーターをはずして目視点検し
ました。
ホットワイヤー式のエアフローメーターは特に異常なし。
スロットルチャンバーのほうはと言うと黒いカーボンがバルブの周りに堆積して
います。
通常ISCVのような小さい空気の通路の場合はカーボンの堆積でかなりの影響
も考えられるのですが、大きなスロットルバルブの周りのカーボンが果たしてど
れだけ影響するのかちょっと疑問でした。
一応エンジンコンディショナー(キャブクリーナー)でカーボンをきれいに掃除
して組み付けることにしました。
これらの作業と平行して机上ではFAINES(日整連の電子整備マニュアル)
でこの車の制御や整備の方法などを見てみることにしました。
実際にはこの車の情報は掲載されていなかったため、エクストレールの同型のエ
ンジンの資料を閲覧しました。
ここですばらしい情報を発見。
スロットルバルブを外して組み付けたあとは、スロットルの閉位置学習と、アイ
ドリングの急速学習をしてやらないといけないとの事。。。
その方法ももちろんFAINESに掲載されています。
実際これをせずにそのままの状態で組み付けただけでは暖気後のアイドリングは2000回転以上もあり、フェイルセーフでしょうか、エンジンはハンチングしておりました。
これらの学習をマニュアル通りにしてやると、アイドリングはぴたりと安定して
すこぶる快調になりました。
もちろん冷間時の不調も完治しました。
結果としては、スロットル周りに堆積したカーボンが冷間時のアイドリングを不安定にしていたようです。
その後入手した資料によりますと
・信号待ちなどでエンストしそうになる
・アイドリングが低いとか不安定とか
・走行中でもアクセルオフにするとエンストしそうになる
などの症状が起きた場合は
スロットルの清掃と閉位置学習、急速TAS学習を行うようにと記載されており
ました。
また、このような症状がおこる原因としてはエンジンオイルの量、メンテナンス不良の場合発生するようです。
このエンジンは通常0W20の低粘度オイルが指定されています。
通常これらのオイルは高級な部分合成オイルであるため、このようなカーボンの付着が低減されるのではないでしょうか。
また、オイル交換のサイクルも短めにしたほうがよいでしょう。
■スロットル閉位置学習の方法
1.キースイッチをON→OFF(0FF後5秒間は保持)
2.その時スロットルバルブから作動音がすることを確認する
■急速TAS学習の方法
準備
スロットル全閉位置学習をおこなう
エンジンを完全暖気しておく
Pレンジでエアコン・パワステ・電装品の負荷をかけない
準備が出来れば以下の手順
1.アクセル踏まずにキーをON
2.キーをONから3秒後、「アクセルいっぱいに踏む→放す」を5秒以内にすばやく5回繰り返す(アクセルを放して終わる)
3.放してから7秒後、アクセルをいっぱいに踏み続ける。この時10秒後にエンジンの警告灯が点滅をはじめ、さらに10秒後点滅が点灯に変わる。
4.点灯した後もさらに5秒間アクセルを踏みつづけた後に、アクセルを放し、エンジンを始動する。この時点から急速TAS学習が始まるので、20秒くらいはエンジンがかかったまま放置する。
5.以上で学習が終了するが、以下の方法で学習できたか確認する
・キーOFF後10秒以上経過してから再始動
・アイドル回転数が基準値以内であることを確認する
注意:時間のカウントはかなりシビアです。時計などを使って正確に行わないと学習が始まりません。'