オイル交換の話
- 2006/07/13 18:47 JST
多くの方は距離で決められていると思います。
決して間違いではありません。
よくボンネット裏のコーションプレートといわれる注意書きに
「エンジンオイルは15000キロ又は12ヶ月ごとに交換してください」と書かれている車があります。
皆さん、これを「メーカーの言うことだから間違いないよ」と信じますか?
信じている方にお聞きします。
カタログに掲載されている『10・15モード燃費』も「メーカーが掲載している数値だから」と信じますか?
「信じますか?」というより、その燃費で実際に走りますか?
『10・15モード燃費』が実際とはかけ離れた数値であり、車選びの時の参考
にしかならない事は一般の人なら周知の事実ですよね。
実はエンジンオイルの交換サイクル(交換時期)は使われ方によって様々です。
どの車もひっくるめて5000キロだ1万キロだと決め付けるには無理があります
し、年数で決めるというのもひどい話です。
エンジンオイルはベースオイルと添加剤の組み合わせで作られているのですが、ど
ちらかというと添加剤の方が早くに悪くなります。
悪くなる要因は、熱、水分混入、ブローバイ(排ガス&未燃焼ガソリン)混入、
物理的圧力などが原因だそうです。
仮に添加剤が悪くなってもベースオイルまで悪くなることはほとんどありません。
オイルが悪くなってしまうと、一気に機械磨耗が大きくなり、機械の動きが悪く
なると考えがちですが、それは一番最後のひどいオイルの状態の時で、ベースオ
イルまで劣化した場合です。
そうなるまでエンジンは健気に回ってくれるのです。
しかし、見えないところでエンジンの劣化は徐々に進行してきます。
わかりやすいところでは、オイル漏れです。
添加剤が劣化してシールの樹脂部分が劣化しオイル漏れが起こります。
そんなことはないよと言う専門家もいらっしゃるようですが、経験で言わせても
らうと、オイル交換が少ない車の多くはオイルが漏れやすいようです。
さて、添加剤はどうして悪くなるのでしょう。
短距離ばかり走ってオイルの温度が適正な温度まであがることがない場合、燃焼
後の水蒸気がエンジンオイルに回ります。つまり水の混入です。
都市部の市街地を走っていると、多くのブローバイがオイルに混入します。
高速とか登坂路を走ると高温になり、燃焼カスや酸性物質が混入します。
実はオイル交換というのは悪くなったオイルを交換するというよりも、汚れの溜
まったオイルを交換することだと思ってください。
ちょうど、洗濯機に入れる水がベースオイルで、洗剤が添加剤の関係です。
汚れた衣服を入れて洗濯機をまわし汚れが溜まる。
洗剤の能力が悪くなり、水に汚れが増える。
これを捨てる。
という感じです。
この洗剤の能力が悪くなったまま使いつづけた例をご覧ください。
これがスラッジの塊です。
正しくオイル交換していると、たとえ20万キロ走ってもエンジンの内部は新車
のようにピカピカです。
ではオイル交換のサイクルをどのように決めるのか。という本題のお話です。
(以下はメーカー指定のグレードのオイルを使った話です)
先にお話した『10・15モード燃費』(カタログ燃費)と『実際の燃費』それ
にメーカー推奨の交換サイクルで決めてください。
具体的には
『実際の燃費』÷『カタログ燃費』×「メーカー推奨の交換サイクル」
ちょっとトヨタのノアあたりで計算してみましょう。
参考にしたのは ガリバーの口コミ掲示板での ノア のコーナーです
ここにはユーザーからの燃費の投稿があり、実際に近い燃費を比較することがで
きます。
実燃費 タログ燃費
8.6 ÷ 14.2 × 15000km =9084
となり、約9000キロでの交換となります。
ところがもう一つ忘れていることがあります。
整備手帳を一度ご覧ください、オイル交換の時期として、「シビアコンディショ
ン」と言う言葉がでてきますよね。
メーカー曰くシビアコンディションでは指定の距離の半分での交換してください
ねって、書いていませんか?
そうなのです、指定の距離には二つあるのです。
つまり、シビアコンディションであった場合はこの9000キロが一気に半分の
4500キロになってしまいます。
ところでこのシビアコンディションとはどういうものなのでしょうか。
定義はメーカーによっていろいろあるようですが、
たとえば
悪路
走行距離が多い
山道、登坂路が多い
短距離走行の繰り返し
などと定義されていますが、どこのメーカーも基準は曖昧で、なんだかうやむや
にされている感じすらします。
実際にメーカーはこの部分をうやむやにしています。
メーカーの言うとおり15000キロで交換していてエンジンが壊れたとしても、
シビアコンディションなのだから保証対象外ですよと言われてしまう可能性があ
ります。
この部分など、外国メーカーのほうがきちりとしていて、はっきりと
「日本国内で使用する場合は全てシビアコンディションです」ときっぱり書いて
いるメーカーもあります。
「車は壊れないので触らないでね」という姿勢の日本のメーカと、「車は壊れる
ものなので、オーナー自らが普段から点検してね」という外国メーカーとの姿勢
の違いが見えますよね。
車が大事なら、調子よく長く乗りたいのなら、先ほどの計算方法を使い、シビア
コンディションで交換することをお勧めします。
シビアコンディションでなくても壊れはしないでしょう、すぐには。。。。。ね