デファレンシャル異音の意外な原因
- 2014/04/10 11:44 JST
お車はメルセデスベンツ W209 CLK320です。
走行中の40キロから上の速度で、とくに60キロくらいで後方のフロアの下のほうから異音がするとのことで、入庫しました。
音の感じはうなったような音で、わん わん わん わん と、音がするセンターラインにタイヤが乗った時のような感じの音です。
お客様はデフかも?っとおっしゃっていたのですが、デフからこのような音が出るって、いままで聞いたことがありません。
また、冷えた時よりも、少し温もった時のほうが音が出るということ、アクセルを踏み込んだり、話したりしたときは止まってしまって、軽い慣性走行くらいの時に音が出るということを問診の時にうかがいました。
実際走行してみると、お客様の言われた通りで、音を出すのに少しアクセル加減のコツがいりますが、必ず再発します。
さて、故障探究ですが、走行中に発生する下回りの異音は正直調べるのが大変です。
こういう場合、当店では電子聴診器?なるものを使用します。
これは6個の音を拾うセンサーを持つアンプで、ヘッドホンをしながら走行し、センサーから拾った音を切り替えスイッチでどこからのセンサーの音が大きいのかを聞き分けることができるものです。
センサーをデフ周りに装着した様子
今回は後ろのほうからするものの、念のために、エンジン下、ミッション前、ミッション後、プロペラシャフトセンター、デフ、とこのあたりから異音検査をしました。
すると、音はデフからが一番大きく、エンジン、ミッションからは全くしていません。
もっと詳しく特定するために、デフ前後、後ハブベアリング両側、両ロアアームなどを調べ、デフであることを確認しました。
さらに絞り込んで、デフでも右後ろのドライブシャフトの付け根が一番大きな音がします。
ということで、中古のデフに交換したのですが、見事に症状が変化せず。。
どこかの振動がデフに伝わり異音となって表れているようです。
かなり珍しいパターンで、故障個所と異音発生個所が違うことって、普通はありえません。
今回はさらに、コンパニオンプレート交換、ミッションマウント交換を行ったところで、ようやくATミッションを疑うことになりました。
まさかと思った大元の故障原因がありました。
ミッション内部へのLLC混入です。
そう、Eタイプではよく聞くこの故障ですが、この車両にも発生していました。
変速不良などの症状ではなく、かすかなジャダーでしょうか、プロペラシャフトを伝わって、デフで振動と異音を発生していたようです。
結局、中古のミッションに交換し、ラジエターも社外品に交換し修理完了となりました。
異音発生個所が直接の故障発生個所ではないという勉強になった作業でした。